大人は楽しい

カテゴリ:本の周辺( 64 )




三島と山本も負けるな!

芥川賞と直木賞が発表されましたね。

うちの書店にはCDも置いているんですが、お客さんから
「芥川賞をとった川上未映子のCDある?」と訊かれました。

CDの方かよ!
たしかにミュージシャンだけど!

一応調べてみたんですが、ありませんでした。そりゃそうだね。

川上さんって、『わたくし率 イン 歯ー、または世界』の人ですよね。
何かの文学賞候補になって、石原慎太郎に酷評されていました。
「タイトルがひどすぎる」って。
それを見て僕は、慎太郎勇気あるなあと思いました。
あからさまにひどいものを批判するのって勇気がいりますよね。
たとえば音楽通になるほど、いちいちアイドル歌手の歌なんか批判しないですもんね。
それより一般的にはうまいとされている人の歌を「あれは下手だ」なんて言って、自分が高位にあることをアピールしようとしますからね。
「『わたくし率 イン 歯ー、または世界』はタイトルが良くない」ってなかなか言えることじゃないですよ。
だって誰が見てもひどいですからね。たぶん作者もそう思ってる。それが狙いなんでしょうが。
山崎ナオコーラが『人のセックスを笑うな』でデビューしたときも、選考委員からしつこく「本当にそのペンネームと書名でいいの?」と訊かれたそうです。
そりゃあね。筆名とデビュー作は一生ついてまわりますからね。


閑話休題。

ある人から「芥川賞をとったナントカさんって人の本をいっぱい集めてフェアやったら?」と言われました。

えー。無理です。
芥川賞って名前は有名なわりに、よく知られていないみたいですね。
芥川賞は新人賞なので、フェアをやれるほど受賞者は本を出していません。

ある直木賞作家が、近所のおばちゃんから「直木賞おめでとう。次は芥川賞だね」と言われたことがある、というエッセイを書いていました。
認知度はそんなもんなんですねー。


直木賞は桜庭一樹。
探してみたら、うちの本屋に2冊だけありました。これではフェアはできない。
今から注文かけても来ないし。
ラノベ出身の作家なんですねー。ラノベ→このミス→直木賞。すごい経歴だね。


最近は芥川・直木両賞よりも、本屋大賞のほうが圧倒的に売れますね。
いろんな人の予想を見たら、今年の予想は、大本命が森見登美彦『有頂天家族』、対抗が伊坂幸太郎『ゴールデンスランバー』だそうです。
『有頂天家族』を注文したら、案の定出版社も在庫切れでした。
アルバイトの子から「本屋大賞の受賞作って全部映画化してるから、次も映画になるでしょうね」と言われたんですが、『有頂天家族』はタヌキが主人公。さあどうする。
『ゴールデンスランバー』は映画化しやすそうですが。
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by uso8000000 | 2008-01-18 05:00 | 本の周辺

すべての本は人が

 本日の書店での出来事。
 初老のご婦人が『女性の品格』を手にレジへやってきた。

「これと同じ本、ないですか」

  「今持ってらっしゃるのではだめなんですか」

「人に贈るものなんで、人がさわってないのがいいんですよ」

  「人がさわってない本はないっすねー。出版社の人がさわって出荷して、取次の人がさわって書店に配送して、書店員がダンボールから出すときにさわりますんで。すべての本は人がさわっています。僕なんか鼻くそほじった手でさわります」

「じゃあこの鼻くそつきのやつでいいです。二冊ください」

  「同じのを二冊も買われるんですか?」

「はい。プレゼントするんで。包装してください」

  「あー、クリスマスプレゼントですか」

「そうです。迅速にお願いします」

  「買うのは二冊ですか? もう一冊買ったほうがいいと思いますよ」

「それはまたどうして」

  「だってあなた、『女性の品格』を他人に贈るつもりなんでしょ? それがどういう意味を持つかわかりますか? あなたは品格がないからこれを読んで勉強しなさいって意味にとられますよ。だからあなたこそこの本を読んで勉強したほうがいいんじゃないですかね」

「あらあら。じゃあもう二冊買おうかしら」

  「もう二冊? じゃあ合計四冊ってことですか」

「そうそして一冊はあなたへプレゼント」

  「ギャフン!」



 『女性の品格』には「鼻くそをほじった手で本をさわることは品位に欠けますわよ」と書いてありました。
 なるほどねー。
 勉強になりました。
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by uso8000000 | 2007-12-22 03:56 | 本の周辺

本気で憂国

 2007年 年間ベストセラー(トーハン調べ)
 1位 女性の品格
 2位 ホームレス中学生
 3位 鈍感力
 4位 日本人のしきたり
 5位 新・人間革命(17)
 6位 田中宥久子の造顔マッサージ
 7位 ハローバイバイ・関暁夫の都市伝説
 8位 ポケットモンスター ダイヤモンド・パール 公式全国大図鑑
 9位 ポケットモンスター ダイヤモンド・パール 公式ぜんこく図鑑完成ガイド
10位 恋空 切ナイ恋物語 (上・下)
11位 国家の品格
12位 赤い糸 (上・下)
13位 君空 ‘koizora’another story
14位 一瞬の風になれ (1・2・3)
15位 もしもキミが。
16位 ポケットモンスターダイヤモンド ポケットモンスターパール パーフェクトクリアBook
17位 いつまでもデブと思うなよ
18位 生物と無生物のあいだ
19位 世界の日本人ジョーク集
20位 「1日30分」を続けなさい!


 このランキング、見ているだけでぞっとします。本気で怖いです。
「これでいいのか!?」と思ってしまいます。

 もう少しわかりやすく分類してみましょう。
新書 ・・・ 7作
ケータイ小説 ・・・ 4作
ゲームの攻略本 ・・・ 3作
タレント本 ・・・ 2作
宗教本 ・・・ 1作
美容本 ・・・ 1作
小説(ケータイ小説除く) ・・・ 1作
ビジネス書 ・・・ 1作


 どうですか。
 今年売れた本トップ20のうち、いわゆる普通の文芸書はたった1作ですよ。
 今年の「本屋大賞」を受賞した『一瞬の風になれ』、ただ1作だけです。
 小説に対してある程度の愛情を持っている人なら、このランキングの怖さがわかると思います。

 7作ランクインしている新書。
 僕は彼らに言いたい。
 おまえらは「新書」を名乗るな!!!
 5年前まで新書というものは、売上とは無縁の出版形態でした。
 岩波新書やちくま新書や中公新書や講談社新書。字がちっちゃくて、おもしろみのかけらもない本でした。タイトルには何のひねりもありませんでした。『無限と連続』『漢字伝来』『プラトン』、こんなもんでした。
 ほんの数年前です、新書が商売になりだしたのは。やたらと長くて、消費者の気を惹こうと必死なタイトルがつけられはじめました。『なぜ・・・は~~なのか』的なタイトルがやたらと増えました。
 いや、いいんです。そういう本があるのは。実際、おもしろいですしね。嫌いじゃありません。
 でもね、新書ってそういうもんじゃないのです。
 学術書は書店に並びません。大きな本屋には並ぶけど、すぐに店頭から姿を消す。そして絶版。そう簡単には手に入りません。
 だから新書です。入門者に向けた、比較的わかりやすい(といっても他の本と比べるとけっこう難解な)内容です。当然あまり売れません。だから長期的に売れればいい。十年以上にわたって細々と、学問の道を歩み始めた人たちの手助けをする。新書ってそういうものだったんです。学問をしていた人なら必ずお世話になったはずです。
 それがどうですか。今の「新書」は。
『いつまでもデブと思うなよ』が十年先まで読み続けられますか! え? どうなんですか、そこんとこ!
 
 あともうひとつ。
『国家の品格』『女性の品格』のヒットに倣って、『○○の品格』というタイトルをつけた本が続々と出ています。
 まったく品格がありません。
 そもそも他人に向かって「品格とは・・・・・・」なんて説くところが品がないです。
 ヒット作のタイトルをまねる傾向はビジネス書に強いですね。

 新書の話はこのへんにしておきましょう。


 で、次はケータイ小説。
 これに関しては、僕はわりと寛容です。
 世間一般には猛烈なバッシングを受けてますよね。クズみたいな小説だ、いや小説とすら呼べない、陳腐で文章もめちゃくちゃで実話とか言いつつ矛盾だらけで実がなくて安っぽくて・・・・・・・。
 まあ、たぶんその通りなのでしょう。僕は読んだことがないのでいいかげんなことは言えないんですが。
 
 でもまあそれでもいいと思うんです。
 どんなに内容が低俗であっても、普段は本を読まないような若い女の子に人気があって、彼女たちの多くはそれで感動するわけですから。
 でね、きっとそのうちの1%ぐらいは「本を読むのっておもしろいじゃん。他のも読んでみよっかな」って思ってくれるんですよ、きっと。で、ケータイ小説以外の小説にも手を伸ばしてくれるわけですよ。
 ケータイ小説に慣れていたらはじめは読みづらいでしょうね。途中で投げ出す人も多いでしょう。でも、やっぱりそのうちの1%ぐらいは最後まで読んでくれるわけですよ。そしたらおもしろいですよ、当然。だってケータイ小説でもおもしろいと思うんだから、普通の小説なんか腰抜かすぐらいにおもしろいですよ。
 そういうわけでね、それまではろくに本も読まなかった人たちに「マトモな小説」への突破口を開いてくれる(可能性がある)という意味で、ケータイ小説はあんまり嫌いじゃないんです。


 僕があんまり売れてほしくないのはタレント本。
 これは読書への入口にならないと思います。
 小学生とかなら読書のきっかけになることもあるでしょうが、大人になったらないでしょうね。
「『紀香魂』おもしろかったなあ。じゃあ次は宮部みゆきでも読んでみるか」とはならないでしょう、絶対に。
 ファンが買うのはいいんですけどね。ベストセラーにはなってほしくないなあというのが本好きの意見です。

 あと最近気づいたのですが、Amazonとかのレビューを見るときは、タレント本の星の数は普通の小説の星2個増しだと思っといたほうがいいですね。
「普段は本を読まない読者」と「目の肥えた読者」がレビューを書いた場合、当然前者は評価が甘くなります。タレント本の読者には前者の比率が高いですから、甘めの採点になるわけです。


 ゲームの攻略本については・・・・・・。
 もうこういうのは「本」のランキングに入れてほしくない。「ゲーム」として扱ってもいいんじゃないかな。
 こういうのが売れるのは別にかまわないんですが、『ポケモン攻略本』より売れる小説が一冊もないってのが情けないですよねえ。

 1年ぐらい前の朝日新聞で、「好きな作家」アンケートをしていました。
 で、ランキングの上位が、赤川次郎と司馬遼太郎と夏目漱石だったんですね、たしか。それを見たとき、僕は心底がっかりしました。
 赤川次郎?
 いいですよ、僕もいっぱい読んでましたよ。中学生のとき。
 今でも人気なんでしょうね。よく売れています。読みやすいですもんね。
 でもね、大の大人が胸を張って「私の好きな作家は赤川次郎です!」っていうのはどうなのよって気がします。読書歴が中学生で止まってることが丸わかりですよね。
 夏目漱石も同じです。
 まあ、本当に夏目漱石の世界観に陶酔していて、大人になってからも繰り返し読んでそのたびに感銘を受ける人だっているでしょう。ごく一部。
 でもほとんどは小学生か中学生のころに『坊ちゃん』『吾輩は猫である』あたりを読んで、好きな作家を聞かれたからとりあえず漱石って答えといたって人でしょうね。
 司馬遼太郎?
 いいですよね。こないだ『坂の上の雲』を読んでおもしろかったですよ。「○○軍の○万○千の兵は○月○日に○○を出て、○月○日に○○に着いて、その頃には○万○千人に減っていた」という調子で、調べたことを全部書くことがうっとうしいですけどね。
 でもさ、とっくに死んでる人がランキングの上位ってことは、今現役で活躍している作家があんまり読まれてないってことでしょ。すばらしい作品を書く作家がいっぱいいるのに。切ないなあ。


 1947年に『西田幾多郎全集』が発売されたとき、3日前から1000人が岩波書店の前に行列を作ったそうです。
 あの西田幾多郎ですよ。今、西田幾多郎をきちんと読んだことのある人がどれぐらいいますか? 僕はありません!
 1946年に4番目に売れたのは三木清、5番目に売れたのはサルトル。
 いやあ、すごい時代ですね。まあこれはこれで異常ですけどね。おまえら頭おかしいんじゃないの? って思いますよ。


 本が高級品で他に娯楽がほとんどなかった時代と今とを単純に比べてもしょうがないですけどね。
 でもベストセラートップ20のうち半分ぐらいは小説が入るようになってほしいなあ・・・・・・。
 みんなが少なくとも月に1冊でも読むようになればだいぶ変わるのになあ。
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by uso8000000 | 2007-12-09 06:39 | 本の周辺

本の周辺

 たぶんこのブログにははじめて書くんですが、僕は書店に勤務しています。
 大喜利やってる人では、たしか権三さんも書店員だったよね。
 珍しい職業ではないのですが、書店員になってみてはじめて知ったこともたくさんあります。
 これから気が向いたらちょこちょこ裏事情を書いてみようかな、と思います。


 書店員の特権。
 細かいことはいろいろあります。
 たとえば、本日「このミステリがすごい!」という本が発売されて、割と権威のある年間ミステリのトップ20が発表されたのですが、書店には早めに情報が入ってくる(早めに知らないと発表に合わせて入賞作を売ることができない)ので、2週間ぐらい前からランキングは知っていました。
 なのでランキングを予想しているサイトとかを見ては「ふふ~ん、ぜんぜんちがうよ」などと小さな優越感に浸っていました。
 まあランキングに興味のない人にはまったくどうでもいいことですが。


・雑誌の付録をくすねることができる
 わりと広く知られていることですが、出版業界は返品制という特殊なシステムをとっていて、売れ残った本は一部の例外を除いて出版社に返品することができます。お金もかえってきます。
 この制度は功罪両方はらんでいるのでいつか別の機会に書くかもしれません。
 雑誌も返品することができるのですが、その際、付録は返す必要がありません。返してもどうせ裁断されるだけです。
 出版社としては「付録は書店で処分してください」というスタンスをとっているんですね。というわけで従業員がくすねることができるわけです。
 たかが付録とあなどることなかれ。付録の良し悪しが雑誌の売上に影響することも多々あります。「小学一年生」なんかは付録にずいぶんお金をかけてますよね。大手の女性誌はたいてい付録をつけていて、これがけっこういいものをつけています。バッグとかサンダルとかストッキングとか化粧品の試供品とか。こういうのを返品するときにはアルバイトの女の子が喜んで持って帰ります。さすがに雑誌の付録のバッグを外で使うことはないのでしょうが、家で使う分には十分な品です。


・販促グッズをくすねることができる
 販促グッズというのは、本や雑誌についてくるのぼりとかポスターとかです。たいていの人にとってはゴミですが、一部の人にとっては猛烈な価値を持ちます。
 ちょっと前に、ある漫画のキャラクターの人形がヤフオクに出品されていました。その人形は非売品。書店で飾るために出版社が配っているものでした。どっかの書店員がパクって売りに出したのでしょう。
 フェア期間が終わればどうせ捨てるものですが、さすがにこれは良くないですね。モラルに欠けます。個人で楽しむぐらいにしましょう。
 というわけで僕の部屋には新潮文庫のYonda?君ののれんが掛かっています。


 あんまり書くとブログ炎上しそうだな……。
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by uso8000000 | 2007-12-07 04:55 | 本の周辺

移転しました。新しいブログはこちら http://dogdogfactory.blogspot.jp/
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