妖精パック
顔のパックをしたことがあるだろうか。
男性は、パックバージンが多いだろうと思う。
まだの人は、ぜひ一度やるといい。
あれは気持ちいい。
姉に勧められてやってみて、その気持ちよさにハマった。
風呂上りに顔につけるとひんやりして気持ちいい(パックをつける前に冷蔵庫で冷やしておくと尚よし)し、次の日には肌がすべっすべ。
しかしパックを買いに行くのは恥ずかしい。
いくらジローラモやドン小西に「男もおしゃれをしろ」と言われたって、しょせん奴らは好色イタ公と変態ファッション評論家。住む世界が違う。
やっぱり普通の男性にとっては、化粧品を買うことは恥ずかしい。
男性100人に「自分用の化粧品とエロ本、どっちを買うのが恥ずかしい?」と聞いたら、80人は化粧品を選ぶ。
そうはいっても別に悪いことをするんじゃないからこそこそする必要もないだろう、とドラッグストアに足を運んだ。
パックを探すが、どこに売っているのかわからない。
化粧品コーナーをうろうろしていたら変態性欲の持ち主だと思われて逮捕されて終身刑に処せられるということに思い当たり、店員さんに声をかける。
店員さんは二十歳ぐらいの女の子。
「あのー、パックはどこにありますか。顔につける方のパックです」
ドラッグストアに牛乳パックが売っているわけないのだから「顔につける方」なんて説明はいらないのだが、なんとなく後ろめたくて余計なことまで口走ってしまう。
「はい、パックですね。男性用ですか?」
思ってもみなかった質問。
男性用があるのか……。
「いえ、女性用です」と即答。
だって恥ずかしいんだもん。
頼まれて買いに来た、ということにする。
女性用を僕が使ったからといって肌がかぶれるようなことはないだろう。
「どこのメーカーのをお探しですか?」
またしても予期せぬ質問。
化粧品メーカーなんて、資生堂とワコールとトリンプしか知らない(化粧品メーカーじゃないな)。
「ええ~っと。メーカーについては何とも言われてないんですよ。よくわからないですねえ」
我ながら見事な返答。
これで僕はどこからどう見ても「パックを買ってきてと姉さんに頼まれたカツオ」だ。
「パックはこれですね。あと、こちらです」
何だよ。二種類しかないんじゃないか。
だったらはじめからメーカーなんか聞かずに、どっちがいいか聞いてくれよ。
一方は4枚入りで950円。
もう一方は6枚で3,000円。
950円のほうが圧倒的にお得だ。
950円のをくださいと言おうとしたとき。
「やはり女性は、こちら(3,000円のほう)を選ばれる方が多いですね~」
この店員、どうしてそんないらんことを言うんだ。
だって今の僕は「おつかいを頼まれて買いに来ただけの、化粧品については何も知らないカツオ」なのだ。
「高いほうを買う女性が多いですよ」と言われたら、そっちを選ばざるをえないではないか。
実際のカツオなら安いほうを買ってお釣りをちょろまかすのだろうが、僕はそこまで世渡り上手ではない。
「こちらのほうが化粧の乗りもいいですし」
僕にとって、そんなことはどうでもいい。
さてはこの店員。
僕が使うことを見抜いていやがるな。
「いや、これは僕が使うんで安いほうでいいです」と言えないことにつけこんで、高いほうを売りつけようとしている。
何たる策士。何たる諸葛孔明。
しかし僕だって、こんなマキロンくさい小娘に負けるわけにはいかない。
ポケットから携帯電話を取り出す。
これを耳に当てて電話をかけているふりをして、
「姉さん? 僕だけど。姉さんに頼まれてたパック買いに来たんだけど、二種類あるんだよ。どっちがいい? 安いほう? わかった」
と一芝居打てば、遠慮なく安いほうを買える。
勝った! 950円のパックは僕のものだ!
勝利の方程式を見つけた僕は、ふと視線に気づいた。
視線の元を追いかけると、あのマキロン娘が商品を整頓しているふりをしながらこちらの手元を窺っているではないか。
この女、電話作戦に気づいたのか。
これはまずい。
じっくり見られたら、本当に電話をしていないことに気づかれてしまう。
「あの男、自分用の化粧品を買うのが恥ずかしくて、電話してるふりまでしてるわ。必死ね」と思われてしまう。
今夜は僕の無様な姿を肴にビールを飲むに違いない。
ミクシィみたいなところに書かれてしまうかもしれない。
さあどうする。
1.本当に姉に電話して、一方的に「安いほうでいいね?」と言う。
2.マキロン娘に向かって低いうなり声を出して、威嚇する。
3.おとなしく3,000円のほうを買う。
一番現実的なのは3だ。だが、それは僕の負けを意味する。それも完敗だ。
ここからの大逆転勝利は不可能だ。
ならばせめて被害を最小限に抑えたい。
「う~ん……。よくわからないんで、二種類両方ください」
すばらしい切り返しだ。
「おつかいを頼まれたカツオ」らしさを表現しつつ、950円のパックも手に入れるというウルトラC。
3,950円の出費は致し方ない。
マキロン娘もこれには参ったらしい。
「あっぱれよ、カツオくん。立派になったわね。きっと姉さんも喜んでくれるわ」
と言ってくれた。
「気持ちいいからパックでも買うか」というぐらいの軽い気持ちだったのに、これほどまでの神経戦になるとは。
おかげで汗びっしょりだ。
帰ったら風呂に入って、パックですっきりしなければ。
男性は、パックバージンが多いだろうと思う。
まだの人は、ぜひ一度やるといい。
あれは気持ちいい。
姉に勧められてやってみて、その気持ちよさにハマった。
風呂上りに顔につけるとひんやりして気持ちいい(パックをつける前に冷蔵庫で冷やしておくと尚よし)し、次の日には肌がすべっすべ。
しかしパックを買いに行くのは恥ずかしい。
いくらジローラモやドン小西に「男もおしゃれをしろ」と言われたって、しょせん奴らは好色イタ公と変態ファッション評論家。住む世界が違う。
やっぱり普通の男性にとっては、化粧品を買うことは恥ずかしい。
男性100人に「自分用の化粧品とエロ本、どっちを買うのが恥ずかしい?」と聞いたら、80人は化粧品を選ぶ。
そうはいっても別に悪いことをするんじゃないからこそこそする必要もないだろう、とドラッグストアに足を運んだ。
パックを探すが、どこに売っているのかわからない。
化粧品コーナーをうろうろしていたら変態性欲の持ち主だと思われて逮捕されて終身刑に処せられるということに思い当たり、店員さんに声をかける。
店員さんは二十歳ぐらいの女の子。
「あのー、パックはどこにありますか。顔につける方のパックです」
ドラッグストアに牛乳パックが売っているわけないのだから「顔につける方」なんて説明はいらないのだが、なんとなく後ろめたくて余計なことまで口走ってしまう。
「はい、パックですね。男性用ですか?」
思ってもみなかった質問。
男性用があるのか……。
「いえ、女性用です」と即答。
だって恥ずかしいんだもん。
頼まれて買いに来た、ということにする。
女性用を僕が使ったからといって肌がかぶれるようなことはないだろう。
「どこのメーカーのをお探しですか?」
またしても予期せぬ質問。
化粧品メーカーなんて、資生堂とワコールとトリンプしか知らない(化粧品メーカーじゃないな)。
「ええ~っと。メーカーについては何とも言われてないんですよ。よくわからないですねえ」
我ながら見事な返答。
これで僕はどこからどう見ても「パックを買ってきてと姉さんに頼まれたカツオ」だ。
「パックはこれですね。あと、こちらです」
何だよ。二種類しかないんじゃないか。
だったらはじめからメーカーなんか聞かずに、どっちがいいか聞いてくれよ。
一方は4枚入りで950円。
もう一方は6枚で3,000円。
950円のほうが圧倒的にお得だ。
950円のをくださいと言おうとしたとき。
「やはり女性は、こちら(3,000円のほう)を選ばれる方が多いですね~」
この店員、どうしてそんないらんことを言うんだ。
だって今の僕は「おつかいを頼まれて買いに来ただけの、化粧品については何も知らないカツオ」なのだ。
「高いほうを買う女性が多いですよ」と言われたら、そっちを選ばざるをえないではないか。
実際のカツオなら安いほうを買ってお釣りをちょろまかすのだろうが、僕はそこまで世渡り上手ではない。
「こちらのほうが化粧の乗りもいいですし」
僕にとって、そんなことはどうでもいい。
さてはこの店員。
僕が使うことを見抜いていやがるな。
「いや、これは僕が使うんで安いほうでいいです」と言えないことにつけこんで、高いほうを売りつけようとしている。
何たる策士。何たる諸葛孔明。
しかし僕だって、こんなマキロンくさい小娘に負けるわけにはいかない。
ポケットから携帯電話を取り出す。
これを耳に当てて電話をかけているふりをして、
「姉さん? 僕だけど。姉さんに頼まれてたパック買いに来たんだけど、二種類あるんだよ。どっちがいい? 安いほう? わかった」
と一芝居打てば、遠慮なく安いほうを買える。
勝った! 950円のパックは僕のものだ!
勝利の方程式を見つけた僕は、ふと視線に気づいた。
視線の元を追いかけると、あのマキロン娘が商品を整頓しているふりをしながらこちらの手元を窺っているではないか。
この女、電話作戦に気づいたのか。
これはまずい。
じっくり見られたら、本当に電話をしていないことに気づかれてしまう。
「あの男、自分用の化粧品を買うのが恥ずかしくて、電話してるふりまでしてるわ。必死ね」と思われてしまう。
今夜は僕の無様な姿を肴にビールを飲むに違いない。
ミクシィみたいなところに書かれてしまうかもしれない。
さあどうする。
1.本当に姉に電話して、一方的に「安いほうでいいね?」と言う。
2.マキロン娘に向かって低いうなり声を出して、威嚇する。
3.おとなしく3,000円のほうを買う。
一番現実的なのは3だ。だが、それは僕の負けを意味する。それも完敗だ。
ここからの大逆転勝利は不可能だ。
ならばせめて被害を最小限に抑えたい。
「う~ん……。よくわからないんで、二種類両方ください」
すばらしい切り返しだ。
「おつかいを頼まれたカツオ」らしさを表現しつつ、950円のパックも手に入れるというウルトラC。
3,950円の出費は致し方ない。
マキロン娘もこれには参ったらしい。
「あっぱれよ、カツオくん。立派になったわね。きっと姉さんも喜んでくれるわ」
と言ってくれた。
「気持ちいいからパックでも買うか」というぐらいの軽い気持ちだったのに、これほどまでの神経戦になるとは。
おかげで汗びっしょりだ。
帰ったら風呂に入って、パックですっきりしなければ。
by uso8000000
| 2007-07-02 19:57
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