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大人は楽しい

読書の秋

僕の趣味は本を読むこと。
でも本を買うことはもっと好き。

本を読むより買うペースのほうが早い。
必然的に、本がたまってゆく。
新刊で買ったのに、読み始める頃にはとっくに古本屋に並んでいたりする。
今も、買ったけど読んでない本が100冊くらい。押入れで出番を待っています。

そんな僕がこの夏読んだ本について寸評。おもしろかったものだけ。



俵万智 「ある日、カルカッタ」
各国への旅を、軽快な文章と短歌とで綴った一冊。
さすがは俵万智、もののとらえかたが非常にユニーク。
選び抜かれた言葉と文章のリズムが心地いい。


幸田文 「おとうと」
中学校の教科書に一部が載っていた。
約十年ぶりに読み返す。
描かれる姉弟関係が非常に美しい。
精緻な風景描写に感嘆。いきいきとした心中の表現はすばらしいの一語に尽きる。
姉と弟の関係を描いた小説で、これを超えるものは二度と現れないだろう。


阿刀田高 「シェイクスピアを楽しむために」
短編の名手による、シェイクスピアの解説書。
「ハムレット」「ロミオとジュリエット」「ヴェニスの商人」「オセロー」「リア王」など、代表作のあらすじをわかりやすく解説。逸話もふんだんに織り交ぜて、読者を飽きさせない工夫がしてある。
みんな名前は知っているけど、実際にシェイクスピア作品のストーリーを知っている人は案外少ないんじゃなかろうか。
ちなみにこの方、、旧約聖書、新約聖書、コーラン、ギリシア神話、千夜一夜物語(アラビアンナイト)の解説書も書いている。どれもおもしろい。


土屋賢二 「われ笑う、ゆえにわれ在り」
 「われ大いに笑う、ゆえにわれ在り」「人間は笑う葦である」

御茶の水女子大哲学科教授による知的ユーモアエッセイ。
教授だが、文章のおもしろさは超一級品。この人よりおもしろいエッセイを書ける作家が今の日本にいるのだろうか。
ただし、どの本も前半と終盤はおもしろいが中盤はイマイチ。
三作とも、「まえがき」は抱腹絶倒ものである。


立花隆+東大教養学部立花ゼミ 「二十歳のころ」
ミュージシャン、コピーライター、棋士、学者など、様々な職業の人に「二十歳のころ」の話を聞いたインタビュー集。
特に、小川三夫(大工)、赤川次郎(小説家)、元オウム真理教信者らの話がおもしろかった。
二十歳前後の人は必読である。立花隆「青春漂流」とセットで読むべし。


石原まこちん 「THE3名様~ベジタブル野菜サラダの章~」
 「THE3名様~スプラッシュ烏龍茶の章~」

相変わらずの、ぬるい漫画。それでも昔に比べれば、ずっと話の作り方がうまくなっている。
初期の、オチやヤマ場がまったくない漫画も好きだったが。


西原理恵子 「毎日かあさん③ 背脂編」
依然パワーの衰えない強力子育て漫画。
バカ息子とその友人がおもしろすぎる。
自分のバカ少年時代を思い出して懐かしくなった。


「Newton 6月号」
科学の最先端について知りたいと思ったのだが、基礎知識がないので、説明を読んでもよくわからなかった。
しかし写真が多いので、それを眺めているだけでも楽しめる。
カプセル型内視鏡の話と、ナルコレプシーという病気の話は興味深かった。


あだち充 「ラフ」①~⑦
中学生ぐらいのときに読んだが、また読みたくなって全巻一気に買った。
若さがうらやましい。青春のどきどきとか苦悩とか嫉妬とかほろ苦さとか、そういったものを実に爽やかに描いている。
脇役の個性も光る。
映画化されたらしいね。映画には興味ないけど。


吾妻ひでお 「失踪日記」
アル中になって家と仕事から逃げ出した漫画家の、実体験漫画。
食べ物を拾い、捨てられた酒を飲み、野宿する姿が描かれている。
相当悲惨な生活なのだが、距離をとってテンポよく描かれているので陰鬱な印象は受けない。しかし隠しているからこそ、裏の暗い部分がうっすら透けて見えて、とても怖い。
誰だって、いつアル中になってホームレスになるかもわかんないんだよなあ。


福江純 「図解雑学 タイムマシン」
相対性理論などを用いて、「タイムマシンは実現可能か」を論じた本。
結論としては、「現在の科学では実現には遠く及ばないが、可能性としてはゼロではない」ということらしい。
タイムマシンには夢があるねえ。


のりつけ雅春 「中退アフロ田中」①~⑦
「高校アフロ田中」はパクリと言ってもいいほど「稲中」とよく似ていたが、「中退~」になってから内容が思索的になって俄然おもしろくなってきた。
ダメ無職の考えがリアリティを持って表現されている。ギャグも冴えてきた。


横山秀夫 「第三の時効」
最近のミステリでは、横山秀夫がだんぜんおもしろい。
事件と同時に、人間も等身大で描かれる。警察官の苦悩、しがらみ、妬み、プライド、それらがしっかり書かれているところが素晴らしい。刑事だって人間だもんなあ。
この人の小説は、ラストの数ページ(場合によっては数行)で一気に謎が解決するので、ラストの緊張感がものすごい。
感心してため息が出る。


長尾謙一郎 「おしゃれ手帖」①~⑩
とんでもないバカ漫画。
前半は下品でバカなギャグ漫画。くだらなさすぎて笑ってしまう。
中盤からストーリーに脈略がなくなって、意味不明になる。
このナンセンスさが、終盤のシリアスっぽいストーリーの中で花開く。
現実と妄想が錯綜し、読んでいるとこちらまで狂ってしまいそうになるほど。
そしてラストの集束には、息もつかせぬ迫力があった。
無意味をつきつめた結果に生まれる、新しい意味。これはすごい。
中盤のやりたい放題を許してくれたヤングサンデー編集部の英断にも拍手。


「new」
 自由に生きる人たちによる創作集、だそうだ。
 YO-KING(真心ブラザーズ)、小林賢太郎(ラーメンズ)、ワタナベイビー(ホフディラン)、小宮山雄飛(ホフディラン)、曽我部恵一(元サニーデイ・サービス)、奈良美智(画家)、秋山竜次(ロバート)、甲本ヒロト(ハイロウズ)など、僕の好きなアーティストたちの競作。 詩、漫画、短編小説、短編小説、エッセイなど。
 ただし内容はそれほどおもしろいものではないので、ファンにしかお勧めできない。



by uso8000000 | 2006-09-22 03:19 | カルチュア

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