ゆきぐにと田中角栄
朝から降り始めた雪が、夜になってようやく降りやんだ。十センチは積もっただろうか。
ぼくの住んでいる阪神地域では、これほど降るのは一年に一度あるかどうかだ。
車で通勤するようになった今こそ雪が積もると困るが、その一方で少なからずわくわくする。
雪合戦できるほど積もるのは数年に一回、かまくらを作れるほど積もるのは十年に一回。そういった土地に住んでいると、雪は天災というよりも贈り物である。
できることなら雪が積もった日は仕事も予定もすべてキャンセルして、雪合戦をして遊びたい。
ぼくは冬生まれだからか寒さには強く、中学生のときには真冬に川に太ももまで浸かって遊んだり、高校生のときには真冬に河原で半裸になって踊ったり、大学生のときには酔っぱらって真冬に屋外で眠ったり、社会人になってからも真冬に公園にテントを張って一夜を過ごしたりしていた。
こう書いてふと気付いたのだが、ひょっとしたら寒さに強いのではなく頭が弱いだけかもしれない。

たまに降り積もる雪を楽しんでいる一方で、雪国の人に対しては複雑な思いを抱いている。
一年のうちのかなりの時間を雪との闘いに費やし、ときには雪による死者まで発生する土地の人たちに対しては、畏敬の念と申し訳なさと憐れみと同情が入り交じったような感情を持ってしまう。
ニュースで雪国のたいへんな生活を見るにつれ、そこに住む人に対してなんとなく頭が上がらない思いがする。
雪と深く付き合って生きている人は、そうでない人とでは持っている力が根本的に違うのではないだろうか。腕力とか忍耐力とかそういった単純的な力ではなく、もっと根っこにある生きる姿勢というようなものが。
普段の生活には表れなくても、たとえば戦争とか地震とかの極限状態に陥ったときにはっきりとその差が出るのではないかという気がする。
戦場で生きのびた十人は全員雪国出身者で、雪かきをしたことのない十人は全員死んでしまった。なんてことが起こってもぜんぜん不思議ではない。
ひょっとしたら昭和ヒトケタ生まれと平成生まれぐらいのしぶとさの違いがあるのではないだろうか。

昔、田中角栄がロッキード事件で逮捕された後に選挙に出馬して獄中当選したとき、
「犯罪者を当選させるなんて何考えてるんだ」と地元新潟の人たちは他の地域に住む人から非難を浴びたらしい。
田中角栄に票を入れた人と、それを非難する人。それこそが雪国に生きる人とそうでない人の「生きること」に対する姿勢の違いではないだろうか。
冬になると雪に閉ざされて病院にも行けなくなる土地。
トンネルと大きな道路を作って東京にもすぐ行けるようにします! という日本列島改造論を唱え、それを実行に移した田中角栄。
地元の人からしたら、ほんとに神様のような存在だったのではないだろうか。生活を一変させてくれたのだから。
法の正義と、人間の生活。
どちらをとるかが、ぎりぎりの状況では運命を分けるのではないだろうか。
雪国に住んだことのないぼくは勝手にそう思う。
ぼくの住んでいる阪神地域では、これほど降るのは一年に一度あるかどうかだ。
車で通勤するようになった今こそ雪が積もると困るが、その一方で少なからずわくわくする。
雪合戦できるほど積もるのは数年に一回、かまくらを作れるほど積もるのは十年に一回。そういった土地に住んでいると、雪は天災というよりも贈り物である。
できることなら雪が積もった日は仕事も予定もすべてキャンセルして、雪合戦をして遊びたい。
ぼくは冬生まれだからか寒さには強く、中学生のときには真冬に川に太ももまで浸かって遊んだり、高校生のときには真冬に河原で半裸になって踊ったり、大学生のときには酔っぱらって真冬に屋外で眠ったり、社会人になってからも真冬に公園にテントを張って一夜を過ごしたりしていた。
こう書いてふと気付いたのだが、ひょっとしたら寒さに強いのではなく頭が弱いだけかもしれない。

たまに降り積もる雪を楽しんでいる一方で、雪国の人に対しては複雑な思いを抱いている。
一年のうちのかなりの時間を雪との闘いに費やし、ときには雪による死者まで発生する土地の人たちに対しては、畏敬の念と申し訳なさと憐れみと同情が入り交じったような感情を持ってしまう。
ニュースで雪国のたいへんな生活を見るにつれ、そこに住む人に対してなんとなく頭が上がらない思いがする。
雪と深く付き合って生きている人は、そうでない人とでは持っている力が根本的に違うのではないだろうか。腕力とか忍耐力とかそういった単純的な力ではなく、もっと根っこにある生きる姿勢というようなものが。
普段の生活には表れなくても、たとえば戦争とか地震とかの極限状態に陥ったときにはっきりとその差が出るのではないかという気がする。
戦場で生きのびた十人は全員雪国出身者で、雪かきをしたことのない十人は全員死んでしまった。なんてことが起こってもぜんぜん不思議ではない。
ひょっとしたら昭和ヒトケタ生まれと平成生まれぐらいのしぶとさの違いがあるのではないだろうか。

昔、田中角栄がロッキード事件で逮捕された後に選挙に出馬して獄中当選したとき、
「犯罪者を当選させるなんて何考えてるんだ」と地元新潟の人たちは他の地域に住む人から非難を浴びたらしい。
田中角栄に票を入れた人と、それを非難する人。それこそが雪国に生きる人とそうでない人の「生きること」に対する姿勢の違いではないだろうか。
冬になると雪に閉ざされて病院にも行けなくなる土地。
トンネルと大きな道路を作って東京にもすぐ行けるようにします! という日本列島改造論を唱え、それを実行に移した田中角栄。
地元の人からしたら、ほんとに神様のような存在だったのではないだろうか。生活を一変させてくれたのだから。
法の正義と、人間の生活。
どちらをとるかが、ぎりぎりの状況では運命を分けるのではないだろうか。
雪国に住んだことのないぼくは勝手にそう思う。
■
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by uso8000000
| 2011-02-14 21:23
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