大人は楽しい

さよならMー1グランプリ

テレビ番組の感想を書くのは恥ずかしいと言いつつ、毎年書いてるMー1グランプリの感想。
今年も。



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1.カナリア (ドレミゲーム)

「明日は靴を見にいく」とかボケにつられちゃうとことか、ツッコミがバカでいい。
 今まであんまりなかったかな。
 そういうキャラが浸透した上でやってたらもっとウケてたかな。
 でも急ぎすぎてた。


2.ジャルジャル (漫才のボケを知ってる)

 ジャルジャルらしいネタ。
 既存の漫才を演じる → 破壊 → 再構築  という流れなんだけど、「既存の漫才」と「再構築」の部分が下手すぎる。技量が発想に追いついていない。こういうメタな芝居は相応の演技力が無いと観ていられない。
 大きなものを創るからこそ、破壊したときの衝撃も大きいのに。ただ壊しただけ。


3.スリムクラブ (勘違いに気付かない人)

 いやあ、おもしろかった。
 以前に短いコントを一度観たことがあったのだが、そのときはめっぽうおもしろかった。ただ、それを漫才にできるのかということと、あのテンポがMー1で受け入れられるのかと心配だった。
 まさかあんなにウケるとは。観終わった瞬間、「これが優勝だ!」と叫んでいた。
 実に大喜利的。発想力をそのままぶつけてきたネタ。笑う時間、想像する時間をたっぷりとっているので、観ている人が勝手にいろいろ想像してどんどんおもしろくなる。
 でも逆に与えられたもので笑わせてもらうだけの人が観ても、ぜんぜんおもしろくないんだろうな。
 ところで、二人とも喪服?


4.銀シャリ (ABCの歌)

 たしかに格好やしゃべり口調は昭和くさいんだけど、ネタの作りはきわめて現代的。ツッコミの言い回しで笑いをとっていくスタイルが。
「ただただ無機質な歌」とか「はい、一回止めます」とか。
 うまくてまとまりもいい。でもまとまりすぎかな。
 ツッコミを引き立てるため(?)にボケが弱いから、大ウケはないよね。


5.ナイツ (2010年のスポーツ界を振り返る)

「もっとさかのぼれ」「あのデブのせい」おもしろいボケがあって、いいツッコミで笑いを膨らませて。これぞ理想的な漫才だね。
 しかも時事ネタをやってみせたことで、いくらでも応用が利くことが証明された。これで死ぬまで食っていけるほどの完成度の高さ。
 ただ「ニューナイツ」といって前半をフリにしてもう一回ボケるくだりはいらなかったな。ボケも単調だし、テンポが悪くなっただけだし。


6.笑い飯 (サンタウロス)

 いつもなら2組ネタやった後にCMが入るのに、いい空気でやらせたいからか笑い飯の前にはCMが入らない甘やかしっぷり。
 こんなにあざとい笑い飯ははじめて観たなあ。
 去年のネタを踏み台にして、審査員が求めているものにきっちり応えた。プライドも主張もかなぐり捨てて、優勝するためのネタをやってきた。
 こういうことを茶化して自由にやるというのが笑い飯のスタイルで、そういうとこが好きだったのに。どこよりも不自由なネタをやってしまった。
 Mー1グランプリが笑い飯をNON STYLE化してしまったのかと悲しくなった。
 あざとさが目につきすぎて笑えなかった。おもしろいんだけど。


7.ハライチ (刑事になりたかった)

 変にテクニックが上がって、変におもしろくなくなった。
 粗さ、強引さがおもしろかったのに。笹かまのくだりとか、狙ってる感が強すぎて。
 笑い飯にも同じことが言えるんだけど、狙いが見えすぎると笑えないんだよねえ。ナイツみたいにうまければそれでもいいんだけど。


8.ピース (吸って発音)

 つまんない。千原兄弟が10年以上前によくこういうネタをやっていた。
 ツッコミも、10年前の下手な若手の漫才のそれ。メリハリがなく怒鳴ってるだけ。怒る理由がぜんぜんない。
 数年前に観たネタだし。
 新しい発想もないし、ネタの作りかたも新しくないし、うまさもないし。
 今回「なんで決勝に来られたの?」と思ったのはここだけ。


9.パンクブーブー (万引きした兄ちゃん)

 事前の番組で敗者復活戦を放送してたけど、ここがいちばんウケてて、まちがいなく決勝に行くだろうなと思った。
 わかりやすくておもしろいし、構成もうまい。しゃべりも上手。
 店が別。実の兄ちゃん。光るボケもいくつか。
 失点が少ないし技術は確かだから、落とすわけにはいかないよね。
 これを準決勝で落とした理由がわからない。
 でもボケのパターンがずっと一緒だったのでもっと短い時間のネタでよかった。
 ちなみに敗者復活戦のときと一字一句、間のとり方も一緒でした。そういう遊びのなさが芸人として致命的なんだよなあ。


 決勝進出者。パンクブーブー、笑い飯、スリムクラブの3組には納得。


 最終決戦。

1.スリムクラブ (お葬式)

 喪服を着ていたのはまさかこのネタのため?
 だとしたら最終決戦に行く気満々だったのか?

 何たる強心臓。
「民主党ですか」「民主党にもいない」
 すばらしいボケ。すばらしいツッコミ。このあやうさ。
 もう一本同じレベルのネタがあるんだろうかと心配だったが、一本目と遜色ない。
 発想の豊かさもさることながら、構成力にも舌を巻いた。
 1本目のラストの「逆の立場で考えてみろ」を持ってきて、そこからさらに膨らませた。凄い。
 観終わって、これが優勝じゃなきゃおかしいだろ!と思った。残り2組を観るまでもなく。


2.笑い飯 (小銭の神様)

 新しいものに挑戦する姿勢が感じられなかった。守りに入っていた。
 実際おもしろいんだけど、これで優勝させたら今までの8年間は何だったんだ。
 笑い飯が好きだったので悲しい。


3.パンクブーブー (殴り合いの喧嘩)

 10年間の最後の最後のネタにして、最低のネタ。
 観ていて怒りを覚えたのはこれだけだった。
 1本目と同じじゃないかよ!っていうボケかと思いきや、まさかそのまま踏襲してるだけとは。
 1本目をつくるときに捨てたネタをつないで作ったというような感じ。
 こういう下劣なネタを持ってくる感性もさることながら、ネタ後に「ガッツポーツをとりたいです」と優勝できる気でいることにびっくり。
 長年決勝まで上がれず、優勝してもぱっとしない理由がわかった気がした。



 ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆


 ぼくの好みでは圧倒的にスリムクラブなんだけど、好みもあるから笑い飯優勝がおかしいとは思わない。

 でも最後に松本人志が「笑い飯に優勝させてやりたかった」と思わず漏らしてしまった言葉が物語っているように、審査員に「ここまで辛酸を舐めてきた笑い飯に……」という気持ちが働かなかったといえば嘘だろう。
 八百長ではなく、出来レースでもなく、人情というか後ろめたさというか。

 そういう気持ちは否定しない。大相撲でも、七勝七敗で千秋楽を迎えた力士には勝たせてやるもんだし(最近はそうでもないけど)。
 M−1でも何度かそういうことがあったし。それで割を食ったのが笑い飯だったし。



 ぼくが悲しかったのは、上でも書いたけど、笑い飯がおもしろさを捨ててしまったこと。
 ネタのおもしろさということではなく、芸風とか、もっといえば生き様とかそういうレベルでのおもしろさ。
 おもしろさを捨てて点数を狙いに走った。短い時間で理解できるボケを詰め込んで、手数を増やして、遊びをなくして無駄をそぎ落とす。審査員が低い点数をつけられないようなネタを作る。それは2008年にNON STYLEが、2009年にパンクブーブーがやって成功したこと。
 その2組に敗れた笑い飯が、勝ちを獲りにいったことは仕方のないことかもしれない。

 Mー1グランプリという大会が今年で終わってしまう。残念だけど、ほっとしている。
 新しい才能を発掘するための大会が、新しさを否定して画一的な漫才を要求するようになってしまった。役割を終えたどころか、才能を潰す方向へ動き出してしまった。
 こんな大会は続けてはいけない。

 そんな中で、漫才の軽薄化という潮流に逆らったスリムクラブが評価されたことはうれしく思う。
 POISON GIRL BANDや千鳥がM−1という舞台ではまったくといっていいほど評価されなかったが、彼らがやろうとして叶わなかったことが、ようやく実を結んだような思いさえする。
 10回おこなわれたMー1グランプリという大会のいちばんの功績は、逆説的だけど「Mー1グランプリでおもしろい漫才を生み出すことはできない」を示したことだと思う。
 ぼくはここに漫才の希望の光を見る。
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by uso8000000 | 2010-12-27 19:06 |

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