大人は楽しい

本を読もうよ本を

 最近読んだ本の中で、おもしろかったものを紹介。


 西原理恵子+勝谷誠彦「鳥頭紀行 ジャングル編」 
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 体を張りまくったジャングル+ベトナム取材もおもしろいが、いちばんすごいのが「台湾編」。
「写真をなくした」「資料を探す気になれない」「あんまり覚えていない」といって、うろ覚えの記憶だけで紀行漫画を書いている。当然内容はむちゃくちゃ。ベトナムや香港の出来事が混ざっているし、途中で投げ出しているし。
 これを本にして、さらにそのまま文庫にしてしまったことに感動した。



 ヤマザキマリ「テルマエ・ロマエ」
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  古代ローマの建築技師が現代日本の風呂にタイムスリップするというお話。
 ひたすら風呂の話がつづく。これがめっぽうおもしろい。
 斬新なギャグがあるわけではないのだが、あくまで大まじめな主人公が終始おもしろい。「聖☆おにいさん」とも似ているが、こっちのほうが品があって(風呂の話なのに)、誰が読んでもおもしろいと思う。



 石川雅之「もやしもん 8」
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 ビール編。これまででいちばんおもしろい。ワインや泡盛よりもなじみが深いし、解説もわかりやすい。
「もやしもん」を読んだことのない人は、1巻よりも8巻から読んだほうがいいかも。



 加納朋子「レインレイン・ボウ」
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 文章がうまいのですいすい読める。明確で無駄のない文章。
 ミステリだけど殺人は起こらず、日常的な謎(というよりちょっとした違和感という程度)がいくつもいくつも散りばめられていて、それを解いているうちにひとつの大きな謎が明らかに。
 構成のうまさに舌を巻いた。



 ゴールディング「蠅の王」
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 子どもたちが無人島に流れ着き、子どもだけの生活が始まる……。はじめは「十五少年漂流記」だが、次第に規律は破られ、秩序は崩壊し、対立は徐々に深まる。それぞれの少年の内にある暴力性、破壊衝動が少しずつ表面化してゆく描写が真に迫っている。内的な狂気をほんの少しずつ露にしてゆく家庭が緊張感を与える。
「今からみなさんに殺し合いをしてもらいます」みたいな暴力ありきの安易な設定ではなく、人間すべてが持っている欲望が些細なことをきっかけにして膨らみゆく。これぞ小説。



 佐藤多佳子「黄色い目の魚」
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 瑞々しいタッチで描かれた青春小説。小道具としての絵画の使い方が見事。
 大きな事件も、目標も、恋のどきどきもないけれど、話に引き込まれた。文章がすごくいい。



 森見登美彦「四畳半神話大系」
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 おもしろい。笑えて、感心した。エンタテインメント小説の白眉。
 四つの平行世界があり、それぞれで同じような経験をして同じような結末に至る男の物語。
 ただ四つが並んでいるだけでなく、ある世界で提示された謎の答えが別の世界で見つかるなど、伏線・小道具の使い方も絶妙。
 伏線の利きすぎた小説はたいてい前フリにあたる部分が退屈なんだけど、この作品はユーモアたっぷりなのではじめから楽しめる。
 青春小説としても、恋愛小説としても、ファンタジー小説としても、ミステリとしても超一級の小説だ。



 梁石日「闇の子供たち」
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 タイでの児童売春、幼児虐待、麻薬・臓器の密売を迫力ある筆致で書いた小説。しつこいぐらいに生々しく児童売春の描写をしているので、鳥肌が立つ。嫌でも胸に迫ってくる。毎日大人の性の相手をさせられて、エイズに感染したことがわかると生きたままゴミ捨て場に捨てられる子どもの姿は衝撃的。
 ただし「児童売買春やめましょう」という安易なプロパガンダ小説ではない。
 作中には「子どもを売らないで!」という運動をする日本人のボランティアスタッフが描かれるのだが、彼女のほうが平和ボケしていて、子どもを売り買いする親やマフィアのほうが正しいのではないかと言う気さえしてくる。
「子どもを売らないと家族みんな食っていけない。子どもを売るなというのは一家全員死ねということだ」と主張する親に対して、反論することなどできるのだろうか?
 また、病気の我が子を救うために、タイでの臓器移植にすがる日本人の母親が登場する。その臓器移植のためにタイの子どもがひとり殺されるのだと知ってもなお、手術を受けさせようとする母親。彼女を責める資格は、誰にあるのだろうか? 少なくともタイの貧しさの上に成り立っている豊かな暮らしを享受している我々には、ない。



 水木しげる「水木しげるのラバウル戦記」
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 しりこだまさんがブログで紹介していたので読んでみた。
 なるほど、おもしろい。
 しりこだまさんが書いている以上の感想は書けないので、そちらを参照されたし。
 戦争の悲惨さではなく、水木センセイの胆力のすごさしか伝わってこない。
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by uso8000000 | 2010-01-23 22:13 | 本の周辺

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