大人は楽しい

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「甘い言葉」と新機能

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アサヒカメラ12月号の特集は

気をつけよう
「甘い言葉」と新機能



 ちょっといいかな?
 写真のモデルになってほしいんだけど。
 いや、ぜんぜん。ぜんぜん。あやしくないって。
 うん、普通のモデル。ハハハ、投稿とかしないって。
 いや、ぼくカメラマンやってるんだけどね。ってもまだ駆け出しで、ときどきAneCanとかと仕事させてもらうぐらいなんだけど。
 いやー、ぜんぜんだって。
 うん、そう。
 でね、このカメラ、新機能がついてて、すごく美白に撮れるんだよね。ほら、これがこのカメラで撮った写真。そう、ぼくが。
 そうなんだよ、佐々木希ちゃんって実際見たらすごく顔ちっちゃいんだよねー。
 それで君にもモデルになってもらって、良かったら雑誌のほうに売り込んでもいいかなって。
 うーん。五分五分ってとこだろうね。あ、もちろん謝礼は払うよ。掲載されたらそれとはべつにモデル料が出るし。
 あ、ホント?
 じゃ、ここじゃなんだから、その車乗ろっか。
 あそこに停まってるマジックミラー号に。
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by uso8000000 | 2010-11-26 20:22 | 本の周辺

絶叫委員会

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 穂村弘『絶叫委員会』(筑摩書房)


 久々に痛快なエッセイに出会った。

 著者は歌人だけあって、言葉に対して実に敏感だ。
 なんでも、街で耳にした「ちょっと違和感のある言葉」を一字一句記録しているのだそうだ。



 葬式の席で、故人の友人が言う。
「N(死んだ友人)が生き返るなら、俺、指を4本切ってもいいよ」


 久しぶりに知人の女性と再会した著者。
著者「お久しぶり、お元気ですか」
A「堕胎しました」


 十歳くらいの娘に、野菜ジュースを勧める父親。
父「これ飲むと、青虫みたいになれるよ」
娘「嫌!」


 寿司屋にやってきた女性。
「こんばんは、やどかりなんですけど」


 著者が昔読んだ、キュリー夫人の伝記。
「貧乏なキュリー夫人は薄い布団しか持っていなかったので、冬の寒い夜には椅子を着て寝ました」


 路上で。どこかのおばさんが。
「日本人じゃないわ。だって、キッスしてたのよ」


 『怪人二十面相』シリーズを読んだ人の感想。
「怪人二十面相はこんな油断しないと思うんだけど、でも、江戸川先生が書くからには本当なんだろうね」


 屋久島の縄文杉の前で、テレビ局のレポーターが若い女性登山者にマイクを向けて。
レポーター「どうして縄文杉に会いに来たのですか?」
女性「会いに来たんじゃありません。観に来たんです」


 今度はテレビ局のインタビュアーと、イヌイットのおじさんの会話
インタビュアー「このトナカイのそりで一日にどれぐらい行けますか?」
おじさん「そりゃ、あんた。どこまでだって行けるさ」





 著者の視点を通すと、世界はなんとあぶなっかしいことか。
 今にも我々が思い描いている世界ががらがらと音を立てて崩れそうではないか。




 うーん。
 このエッセイ、めちゃくちゃおもしろかったから紹介しようとしたんだけど、これ以上紹介する言葉が見つからない。
 このおもしろさを伝えようとしたら引用するしかない。
 一部引用。

 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜
(電車の中で若い男の子同士がしゃべっているのを聞いて)

「俺さ、Tシャツないんだよ」
「俺あるよ」
「嘘まじ?」
「うん」
「Tシャツだよ」
「うん、Tシャツ」
「あるの? Tシャツ」
「めちゃめちゃあるよ」
「1個くれよ」
「うん、やだ」
「2軍でいいからさ」

「めちゃめちゃあるよ」とか「うん、やだ」とか、全ていいけど、やっぱり「2軍」がすばらしい。友だちのTシャツに「1軍」と「2軍」があることに勝手に決まってるのか。いいなあ。私もその世界で生きたかった。

 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜



 上の文章を読んでおもしろいと思った人は、ぜひ丸ごと読んでくれ。
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by uso8000000 | 2010-11-25 21:48 | 本の周辺

お好きな本をどうぞ

 本屋をしているので、アルバイト採用の面接をすることがよくある。
 で、その際必ずする質問が

「好きな本は何ですか?」

 正直言って、この質問の答えはあまり合否には影響しない。
 ほとんど個人的な趣味で訊いている。
 知らない作者名が出てきたらチェックしとくか、ぐらいの気持ちで訊く。


 安時給重労働の本屋にアルバイトをしにくるぐらいだから「本はまったく読みません!」という人はさすがにいない、かというとそうでもない。
「雑誌ぐらいしか読みません」という人もけっこういる。
 それはそれでかまわない。
「ふーん」としか思わない。


「東野圭吾と伊坂幸太郎です。あと最近では『のぼうの城』がおもしろかったですね」
と言われても、同じく「ふーん」である。
 みんな読んでるし、誰が読んでもそこそこ楽しめるはずだから、その答えから回答者の人となりは見えてこない。
 同様に、「好きな漫画は『One Piece』です」と言われても「ふーん」である。
 プラスにもマイナスにもならない、無難な答えだ。


 合否にはほとんど影響しないと上に書いたが、実は影響するケースもある。

 こないだ面接した子は
「小説が好きなんです!」と息巻いていたので「ほう。どんな小説がお好きですか?」とたずねると、
「『バトル・ロワイヤル』、『ハリー・ポッター』、それから『ダレン・シャン』です!」
という答えが返ってきた。
 それは小説じゃなくて児童文学(または中学生文学)だよ、と心の中でつっこみながら履歴書に架空の「不採用」印を押した。
 以前に「山田悠介先生の『リアル鬼ごっこ』が好きです!」と言っていた三十代女性を、人手が足りないからと採用したところやっぱり不出来だったので、それ以来そのへんの本を好みとして挙げる人は採用しないことにしている。
「『赤川次郎』です」という答えも、かぎりなく×に近い▲だ。

 仮にも中学生文学を売って飯を食っている手前、『バトル・ロワイヤル』や『リアル鬼ごっこ』を不当に低く見ているわけではなく(“正当に”低く見ているのだ)、要は想像力の問題なのだ。
 『リアル鬼ごっこ』を好きなことが悪いのではなく、それを己の嗜好として初対面の人間に見せつけることが問題なのである。

 「大の大人が『リアル鬼ごっこ』を好きですと言ったとき、相手にどう思われるだろうか?」という自問をすれば、普通の人間は(たとえ好きだったとしても)「『リアル鬼ごっこ』が好きです」とは言えないはずだ。

「『リアル鬼ごっこ』がおもしろかったけどそう言うと子どもっぽいと思われるよなあ。ここは無難に、数年前に一度読んだだけの『司馬遼太郎』って言っておくか」という判断を働かすのが、大人である。

 自分の発言・行動がどのような影響を及ぼすかを考えて行動しない人間は客商売に向いていない。だから採用しない。
(もし自問した末に言ったのだとしたら、常識が欠如していることになる。それはそれで仕事に向いていない)



 どういう答えを示せばプラス評価になるのかというと、これは難しい。
 強いて言うなら、担当者の好みと一致する答えだけだろう。これは答えがマニアックであればあるほどポイントが高い。
「古いんですけど……。大西巨人先生の作品はすべて読んでます」
「えぇ! ホントに!? すげー、大西巨人を好きな人、おれ以外ではじめて会ったよ」
「お好きなんですか? わあ、うれしいなあ」
「最近は古本屋にもなかなかなくてねえ」
「わかります。ぼく、源氏鶏太も好きなんですけど、なかなか手に入らなくて……」
「うそ!? 源氏鶏太も好きなの!? おれ全部持ってるから今度貸すよ!!」
 こんなやりとりになれば採用される可能性も上がるだろうが、こんな奇跡はまず期待できない。「誰それ?」で終わりである。
 下手をしたら、とりかえしのつかないダメージをこうむる可能性もある。
「好きな本ですか? 『ドグラ・マグラ』です」
なんてことを言ったら、
「『ドグラ・マグラ』を好きなのか。こいつぜったいヤバイやつだ」
と思われてしまう可能性も十二分にある。
 なにしろ日本三大奇書の一だ。どんな考えを持っているかわかったものではない。
「『リアル鬼ごっこ』を好きです」のほうが、嗜好が中学生的ということが想像できるだけマシかもしれない。
 マニアックな本も回答としてはふさわしくない。


 ヘンに見栄を張って
「カントの『道徳形而上学原論』です」
なんて答えもやめておいたほうがいい。
「けっ、インテリ様が。ここはあなた様みたいな秀才くんが来るとこじゃねえよ」と思われるならまだいい方で、下手をしたらそこから3時間カントトークということもありえる。


 だったらどんな答えがベストなのか。
 結局のところ
「東野圭吾ですね。ガリレオシリーズとか」
ぐらいがいちばんいい。
 つまんない結論だけどしょうがない。

 そんなとこでポイント稼ごうなんて思っちゃいかん。
 どうせ面接する側はほとんど「週何回入れるか」しか見てないんだから。
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by uso8000000 | 2010-11-25 16:38 | 本の周辺

徒然予

 時代劇の中で、登場人物が未来予知をするのが嫌いだ。

 江戸時代の人間が
「きっと、何百年後の世界では、ニッポンから外国に自由に行けるようになるはずだ」
みたいなことを言うやつである。

 登場人物にそういう台詞を吐かせて「先見の明のある人物」として描写するのはずるい。
 だって明らかに後だしじゃんけんじゃないか。

後から予想させるのだから当たってて当然だ。
「百年後の日本は、東西に分裂して内戦をくりひろげているにちがいない」みたいな大ハズレの予想は聞いたことがない(日本に資源があれば太平洋戦争後にロシアが日本に手を伸ばして日本も朝鮮化していただろうから、あながち大ハズレとも言い切れないけど)。

 頼むから『龍馬伝』の最終回では、龍馬か勝海舟あたりにそういう台詞を吐かせないでくれよ。


『龍馬伝』観てないけど。
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by uso8000000 | 2010-11-21 20:48 | 徒然

【生物学】地上最強の動物

カニ「虫けらどもめ。平家さまが通るぞ。ひれ伏すといい。
   わたしはカニはカニでもヘイケガニだぞ」

ホタル「おごる平氏は久しからず」

カニ「なんだおまえは」

ホタル「ゲンジボタルだ。平家の怨念が乗り移ったような甲羅をしているカニがその名をかさに着て偉そうにするなんて、笑止千万」

カニ「ぬう。平家が源氏には敵わん。退散退散」

ホタル「はっはっは。まるで戦にならぬわ」

ヘビ「戦場ではわしのほうが上だぞ」

ホタル「なんだヘビのくせに」

ヘビ「ヘビはヘビでもアオダイショウだ。戦地では大将には敵うまい」

ホタル「それもそうだ。退散退散」

ヘビ「はっはっは。やはりアオダイショウ様に楯つこうというやつはおらんようだな」

バッタ「ずいぶん偉そうにしているようだな。アオダイショウよ」

ヘビ「なんだぁ? バッタか。呑み込んでやろうか」

バッタ「おれをただのバッタと思うなよ」

ヘビ「あっ、おまえはトノサマバッタ!」

バッタ「ここ日本では殿様がいちばん偉いと決まってるんだ。
    このおれに太刀打ちできるのはトノサマガエルぐらいのもんよ」

ヘビ「さすがに殿様に牙をむくわけにはいかん。退散退散」

バッタ「はっはっは。いい気分」

チョウ「殿様がいちばん偉いと誰が決めたんだ」

バッタ「なんだと。生意気な口を聞くと打ち首にしてくれるぞ!」

チョウ「ほほう。おもしろい。やってみろ」

バッタ「あっ、おまえは……。いやあなたさまは……」

チョウ「そう。ミカドアゲハだ」

バッタ「たいへんなご無礼を! 腹を切ってお詫びいたします」

チョウ「それには及ばん。今後は言動には気をつけよ」

バッタ「ははー」

チョウ「なんたってわしは日本の象徴だからな」

サケ「偉そうなことを言ったって、所詮は小さい日本でのトップじゃないか」

チョウ「なんだおまえは」

サケ「キングサーモンだ」

チョウ「うっ。王様か。武力を持たない我が国は分が悪い。ここは身を引くとしよう」

サケ「やはり王様がナンバーワンだな」

ペンギン「おっと。そいつはどうかな」

サケ「あっ、おまえはコウテイペンギン」

ペンギン「わたしは皇帝であるぞ」

サケ「待てよ。皇帝と王。どっちが上とは決めづらいぞ」

ペンギン「たしかに。同率1位というところか」

イカ「もっと上がいるぞ」

サケ「なんだあ?」

イカ「我はダイオウイカであるぞ」

ペンギン「やややっ。大王なら王や皇帝より上だっ」

サケ「こりゃいかん。退散退散」

イカ「はっはっは。さすがに大王より上はこの世にいないだろう」

コオロギ「この世にはな」

イカ「なんだ。コオロギ風情が」

コオロギ「ええい口を慎め! 我はエンマコオロギであるぞ!」

イカ「え、閻魔様!? ううむ、大王とはいえどもいつかは死ぬ。
   そのときは閻魔様にご厄介になるわけだから……。
   勘弁してつかあさい」

コオロギ「はっはっはっはっは!!」




 というわけでこの世で最強の動物はエンマコオロギ!
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by uso8000000 | 2010-11-19 21:02 | ネタ

しつこいぐらい水嶋ヒロの話

 しつこいけど、まだまだポプラ社小説大賞の話。

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 あれやこれやですっかりブラックなイメージがついてしまったポプラ社ですが、ぼくだけはポプラ社の味方です。
 そんなポプラ社を誰よりも愛するぼくが、第5回ポプラ社小説大賞選考会の模様を(ほんの一部推測をまじえて)再現してみました。

 ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ 


A「それではこれより第5回ポプラ社小説大賞の選考会をおこないます」

B「なにしろ2,000万円がかかった賞ですからね。慎重に選考しなければなりませんね」

C「そうです。なにしろ、出版界の未来を担う人材を育てる賞ですからね」
(※ ポプラ社は高額賞金の理由を「受賞後数年間執筆に専念できる環境を作り、作家として大きく育っていただくために、賞金は2000万円としました」と説明している)

A「この人なんかどうですか。斉藤智さん」
(※ 水嶋ヒロは、応募時「斉藤智」のペンネームで応募したとされている)

B「いいんじゃないですか。「人間の命とは何か? 人間の価値とは何か?」という深遠なテーマに、ダイナミックな物語構成で鋭く切り込んでいるところがすばらしいですよね」

C「じゃあ誰か知らないけど、この人に大賞をあげちゃいましょう!」
(※ ポプラ社によると、授賞するまで作者が水嶋ヒロだとは知らなかったとのこと)

A「ちょっと待ってください。これ1作だけで終わりではないんですよ。デビュー作だけで2,000万円は回収できませんからね。今後活躍してもらうためにもどういう人かしっかり調べないと」

B「そうですよ。この人が指名手配犯かもしれないし、病気で余命半年かもしれません。今後作家として活動できるかどうかちゃんと調べないと」
(※ 新人文学賞は新人の育成を目的としているので、通常作家として続けられる見込みがない人には授賞しない。また、盗作ではないかの確認などもしなければならないので、受賞者を決定する前に出版社から連絡をとるのが普通)

A「まあ連絡まではしなくていいんじゃないんですか。めんどくさいし。
 募集要項に『職業』と『略歴』の項目がありますからね。それを見ればだいたいの人となりがわかるんじゃないですか」
(※ ポプラ社は授賞するまで作者と会っていないようなので、当然おこなうべき確認を“うっかり”忘れてしまったものと思われる)

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C「えーと……。職業は『俳優・タレント』。略歴は『ファッションモデルとして活躍。その後俳優に転じ、『仮面ライダーカブト』で主演を務める。その他、『ごくせん』『花ざかりの君たちへ』などの多数のドラマに出演』か。よし、誰だかわからないけどこの人に賞をあげよう!」
(※ ポプラ社によると、授賞するまで作者が水嶋ヒロだとは知らなかったとのこと)

A「ちょっとちょっとCさん! 何読んで……ちがった、何でっちあげてるんですか!
 そこには何も書いてないでしょ」
(※ ポプラ社によると、水嶋ヒロの職業と略歴は空白になっていたとのこと)

B「そうですよCさん! そこは空白でしょ!」
(※ ポプラ社によると、授賞するまで作者が水嶋ヒロだとは知らなかったとのこと)

C「だって書いてあるじゃん」

A「そこは空白!!」

C「じゃあそういうことにしときましょうか。
 しかし応募書類に不備があるってことですよね。これじゃあ賞をあげることはできないですよね」

A「でもいいんじゃないですか。みずし……ゴホン、すごくいい作品だし」
(※ 履歴書の学歴と職歴欄が空白の応募者を、一度の面接もせずに社員として採用する経営者だっていないとはかぎらない)

B「そうだよね。経歴なんか関係ないよ。大事なのは作品の中身だよ! たとえ指名手配犯でもいいじゃない」

C「さっきと言ってることがちがわないですか?」

A「そんなことありませんよ」

C「でもこの作品、未完成なんですよね……」
(※ 水嶋ヒロは9月に芸能活動を休止した際、「本格的な文学作品をほぼ書き上げている」と語っている。つまりポプラ社小説大賞応募締切の6月の時点ではまだ作品は完成していない)

A「そんなこと、どうだっていいじゃないですか!」

B「たしかに冒頭の1行しか書いていませんよ。でもこれに編集部がちょっとだけ手を入れれば立派な作品です!」

C「つまりゴーストラ……」

A「ちがいます! 校正ですよ校正! どんな作家だって校正チェックがあるのは当然ですよ」

C「でも1行しか書いてないんでしょ」

A「だけどほんとにいい小説だったんだもん!」

B「「人間の命とは何か? 人間の価値とは何か?」という深遠なテーマに、ダイナミックな物語構成で鋭く切り込んでいるところがすばらしいんだよ!」

C「だけどすばらしい作品を書いて、人生を賭けて作品を投稿してきた他の応募者たちに失礼じゃない?」

A「なにそれ? その無名の人たちが出版界の未来を担えるの?
 これからの文芸界を支えられるのは、出せば金になる斉藤智様だけだろうがよぉ!!」
(※ ポプラ社によると、授賞するまで作者が水嶋ヒロだとは知らなかったとのこと)


 ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ 

 ぼくだけはポプラ社の味方だよ!
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by uso8000000 | 2010-11-16 20:02 | 本の周辺

さらば理論社

 児童書の出版社である理論社が民事再生法の適用を申請した。
 出版不況と言われ、年間数十社が倒産している出版界においては、とりたてて騒ぐほどのことではない。
 理論社は中堅の出版社だが、最近はやや迷走ぎみだったのでこのニュースを聞いても「ふうん。理論社もか」という程度の感想しか湧かなかった。


 出版社が倒産をすると、基本的に本の返品ができなくなる。
 これは本屋にとってはなかなか困る事態だ。
 返品できないんなら売ればいいじゃん、と思うかもしれないが事はそう簡単ではない。
 まず、本屋は返品することを前提に本を注文している。
 どーんと平積みしたほうが見栄えがいいから、「5冊くらい売れるだろうな」と思っても10冊注文する。
 これは実際不思議なところで、たくさん置いといたほうがよく売れるのである。
 10冊置いといたら5冊売れた。じゃあはじめから5冊だけ置いとけば完売するのかというと、そうでもない。3冊くらいしか売れないのだ。たくさんある→よく売れてる→おもしろいにちがいない、という購買者の心理があるのかもしれない。


 そんなわけで、書店はちょっと多めに発注する。ある程度は返品することを見越しての発注だ。
 特に理論社が扱っているのは児童書である。
 絵本は、子どもが触るものなのでボロボロになりやすい。売り物だから大切に扱いなさいよ、と子どもに教える親など皆無に等しい。落とす、引っ張る、投げる、破る。商品によっては、販売数と破損返品数が同じくらいだったりする。


 だから本屋は、返品できない出版社の商品は極力置きたくない。
 岩波書店(ここの本はすべて返品不可だ)の本が大きな本屋にしか置いてないのはこういう理由である。
 倒産した出版社の本は(たとえ売れるとしても)置きたくない。もし売れても、補充はしない。
 というわけで、倒産から1年もすればその出版社の本は書店からほぼ姿を消す。

 だから理論社の本も入手が困難になるわけだが、理論社は良書も出しているのでこれはなかなか惜しい。


 理論社には「よりみちパン!セ」というシリーズがある。
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 各界の著名人が13歳くらいの少年少女に向けて、生きかたを説いた本である。
 これは実に冒険的な企画なので、良書がけっこう混ざっている。

 なにしろ執筆陣がすごい。
しりあがり寿、小倉千加子、バクシーシ山下、叶 恭子、杉作J太郎、西原理恵子、辛酸なめ子、中村うさぎ……。
 子どもに偉そうなことを言えない(言ってはいけない)人たちばかりである。
 なかでも稀代の名著はみうらじゅん『正しい保健体育』である。
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 男子の脳は金玉にのっとっている、女子は子宮を使って宇宙人と交信している、などこの世の真理が網羅されている。
 よくこの本を「児童書」のラベルを貼って出版できたな、という本だ。

 「よりみちパン!セ」シリーズのおもしろさは、ばかばかしい本を児童書としてカテゴライズしたことにあるが、同時にそれは「よりみちパン!セ」シリーズがぜんぜん売れなかった要因でもある。
 大人が手にとっても「ふりがなだらけだな。子ども向けの本か」とろくに読まずに本を置いてしまう。
 子どもが手にとったって、みうらじゅんのおもしろさがわかるわけがない。

 試みはおもしろかった。
 理論社は星新一の児童書バージョンも出していたが、これもやはり失敗だった。
 星新一は、子どもが新潮文庫を手にとって大人になったような気分にひたれることもその魅力のひとつなのである。
 児童書にしてしまったらまるでおもしろくない。大人向けだから含蓄があるのであって、絵本にしたらまさに子どもだましである。

 児童書の版元でありながら挑戦的であろうとした理論社。
 その姿勢が原因で倒産したのだから、非常に残念である。絵本は保守的でなければならないようだ。


 少なくともクソポプラ社なんかよりはずっといい出版社だったので倒産が残念である。
(いや、ポプラ社もいい出版社だったんですよ。水嶋ヒロに賞を与えるまでは)
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by uso8000000 | 2010-11-16 17:45 | 本の周辺

世界中でお引っ越し

What if the largest countries had the biggest populations?
(もしも大きな国が多くの人口を抱えるようになったら?)

人口の多い国を、面積の大きい国に対応させた世界地図。

面積の大きさは、1位ロシア、2位カナダ、3位アメリカ……。
人口の多さは、1位中国、2位インド、3位アメリカ……。

ロシアの土地を人口1位の中国に譲り、カナダの土地を人口2位のインドに明け渡し、アメリカは面積と人口が一致しているので動かず……というわけです。

人口密度を平均化させたわけですね。
なるほど。公平だ。
このアイデアはおもしろい。


日本は面積61位、人口10位なので、今よりかなり広い国に引っ越せます。やったね。



 ↓お引っ越し後
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日本はアフリカ北東部・スーダンの位置に移動しました。
暑そうだなあ。

隣り合っているのは、北から反時計回りにタンザニア、イラン、タイ、アフガニスタン、フィリピン、ドミニカ、ガーナ、スペイン、パプアニューギニア。
暑苦しいイメージの国ばっかりだ。二重に暑いぜ。

うーむ。イランやアフガニスタンはぶっそうな感じがするからお隣には住みたくないなあ。
島国から大陸の真ん中に引っ越したら外交問題が急にたいへんになるね。



日本の土地にはオランダがやってきました。ようこそ。
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日本人向けに作られた家ばかりだから、背の高いオランダ人には住みにくいかもね。


その他の地域。

・アメリカ、ブラジル、アイルランドはそのまんま動かず。
学校でも、席替えしたのにいっつも同じ席の人っていたねー。

・インドはカナダの位置に、パキスタンはオーストラリアの位置に。
これだけ離れてたらもう喧嘩しないだろ。

・韓国は南アフリカへ。そして北朝鮮はボツワナへ。
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その結果、また南北で隣り合わせ!!
運命としか思えないw
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by uso8000000 | 2010-11-15 20:45 | 紹介

ステレオタイプ

 今日は相撲観戦だからあたしはとっておきの雪駄をおろした。
 着物を着ていこうかと思ったけど、それだとあまりにも気合いをこめすぎているような気恥ずかしさを感じてやめた。それにあたしの部屋のクローゼットに着物は置いていない。

 大相撲の地方巡業である心斎橋のクラブクアトロは、人でごったがえしていた。
 人、人、人。
 人人人人犬人。

 そしてそのほとんどが老人と外人だ。あとはシェパードが混じっているぐらい。あたしみたいな23歳獅子座外反母趾女性の姿は他に見当たらない。

 やっぱり大相撲って老人と外人向けのものなのね。
 こんなにたくさんのじじばばが心斎橋クラブクアトロに集まったのは、今世紀はじめてのことじゃないだろうか。

 山のように集まったじいさんが杖をつき、滝のように流れてくるばあさんがショッピングカートみたいなのを押して歩いてくる。
「わしはこの日を本当に楽しみにしていたんじゃよ」
「そうですねえおじいさん」
 とてもいま現在レバノンで紛争が起きているとは思えないほど平和な会話をくりひろげている。

 外人たちはポップコーンとペプシコーラを表面張力が生じるぐらい口いっぱいに頬張りながら
「オー!スモウレスラー」
「フジヤマ、テンプラ」
 まるであほうみたいに(これはあほうではないという意味である)叫んでいる。


 そこへ力士たちが3×25の長い隊列をつくってやってきた。
 どすどすどすどす。みんな浴衣を着て下駄を履いて、床板を踏み外しながら歩いてきた。
 クラブクアトロの床板が抜けたのは今年の11月になってからはじめてのことじゃないだろうか。

「うっす。自分は相撲とりっす」
「ごっつぁんです。いやもうほんと、ごっつぁんです」
 浴衣の背中には、戦国武将よろしく己のしこ名が書かれた幟を掲げている。
 紺、群青、水色、藍色、空色、スカイブルー、マリンブルー……。色とりどりの幟に、『中村の山』『山田の海』『松井の松』といったしこ名がでかでかと青字で書かれている。背景に溶け込んで見づらいったらありゃしない。


「オー! スモウレスラー!」
「ワンダフル!」
 外人たちがフラッシュをバチバチ焚いて望遠レンズで写真を撮る。
「山田の海じゃあ」
「夢にまで見た松井の松じゃわい。わしはもういつでも冥土へ旅立っても悔いはないわい」
 じじばばが一生懸命腕を伸ばして、力士たちの腹肉をつまもうとする。

「こらこら、おまえら誰にことわって写真撮ってくれとんじゃいワレェ!」
「オラオラ、けじめつけんかい! あこぎな真似しとったらいてまうたるけん!」
 そこに現れたのが黒スーツにサングラスの一団。
 どうやら興行を仕切っているヤクザの連中のようだ。


 おかしい。
 薄々思っていたが、ここにきてあたしの頭に浮かんでいた違和感ははっきりと疑惑に変わった。

 ステレオタイプすぎる。
 老人は老人っぽすぎるし、外人はあまりにも外人外人している。関取は360度どこから見ても関取だし、ヤクザは100人が見れば100人ともが「これはヤクザだ」と断定するビジュアルをしている。

 どう考えたっておかしい。今どき小学生がじゆうちょうに描くマンガのキャラクターだって、こんなにベタではない。
「〜じゃよ」なんてしゃべり方をする老人は現実にはいないし、
「フジヤマ、テンプラ」と大騒ぎする外人も見たことがない。
 関取の「ごっつぁんです」も聞いたことがないし、
 汚い大阪弁と広島弁をミックスさせてしゃべるヤクザが出てくるのは古いマンガの中だけだ。
 だいたいクラブクアトロで相撲巡業をするはずがないし、だいいち明日から九州場所がはじまるのに力士たちがやってくるはずがないじゃない。


「この世界おかしいわ!」
 あたしは叫んだ。
「これは夢よ。夢オチよ! 創作物の世界ではやってはいけないとされている夢オチ! ああ間違いない!」

 あたしの声を引き金にして、クラブクアトロの壁が四方にゆっくりと倒れはじめた。ドリフのコントの大オチでセットが倒れるときのアレだ。
 夢の世界が急速に終わろうとしていた。

「うひゃあ」
「破滅じゃあ」
「はぁ、はぁ、世界が消えるっす。ごっつぁんです」
「オーマイガー!」
「おどりゃあいてまうぞお」

 老若男女太細洋邦善悪が己の存在を賭けて声のかぎりに叫ぶ。

「こいつは困ったでござる」
 じいさんが侍言葉になった。

「ミートゥー、グランドファーザー」
 ばあさんが流暢な英語を話しだした。

「弱ったことになったアルネ」
 外人が中国人なまりになった。

「おいどんも困ったでごわす」
 関取は薩摩弁に変わった。

「でーれーわやじゃい」
 ヤクザは大阪と広島の間の岡山弁で叫んだ。
 世界のルールが壊れてはじめているのだ。

 山田の海が得意のすり足で壁の裏側に回り込み、派手なつっぱりをかました。
 倒れかけていた壁が、前頭十二枚目のつっぱりにはねかえされてよろよろとバランスを保つ。
 だが倒れずにとどまったのは北側の壁だけで、他の三方の壁はどしんどしんとほこりを舞いあげながら地面に倒れた。
 壁の向こう側には、客引き酔っ払いギャルバカ蠢く心斎橋の往来ではなく、まばゆい光が空間を覆いつくしていた。
 朝が来たのだ。 
 いくら山田の海がつっぱったところで、しょせんは万年前頭。力及ばず北の壁もゆっくりと傾きを増してゆく。

 すべてが消える。
 じいさんもばあさんも外人も関取もヤクザもシェパードも心斎橋のクラブクアトロも、みんな嘘だったのだ。

 そう、あたしの部屋にクローゼットはない。
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by uso8000000 | 2010-11-10 21:06 | ネタ

冷やし中華というネーミング

「冷やし中華」ってよく考えたらすごい言葉だよね。
 国家を冷やしちゃうわけだからね。

 そんな単語、他にある?


 と思って考えてみたら、いっぱいあった。

 広島焼き、備前焼き、さつま揚げ、奈良漬け……。


「地名+動詞」は相性がいいみたいで、日本語としてごく自然に馴染んでいる。

 でも「動詞+地名」の順番だと、あんまりない。

 昔『追いかけてヨコハマ』という歌があったが、あれにはあまりインパクトがない。
「追いかけて(その結果たどり着いたのが)ヨコハマ」というストーリーが見えるからだ。
 その点、「冷やし中華」にはストーリーがない。
 たしかに中国は今経済的にホットな国であるが、だからといって国ごと冷やすには無理がある。

 歌といえば「そして輝くウルトラソウル!」という歌詞もあったが、
 韓国の歴史に詳しい人に訊いたところ、あのソウルは韓国の首都とは無関係らしい。残念だ。

「言っチャイナ」「脱がせタイ」「落チバ」なんかも「動詞+地名」と言えるかもしれない。いや、言えないか。

 そういえば旧約聖書に『出エジプト』という言葉が出てくる。
 これも「動詞+地名」だが、やっぱり「エジプトを出る」というはっきりしたストーリーが見えるのでつまらない。
「脱北者」と同じである。


 やはり「動詞+地名」界に、「冷やし中華」に匹敵する言葉はない。
「冷やし中華」は語感もいい。
「ひやしちゅうか」と声に出して言ってみると、あの冷たくてぬるっこい感じの歯触りがよみがえってくるような気がする。
 命名の強引さもいい。だってあの味は中華っぽくないもの。いかにも日本生まれの料理という気がする。
 「冷やし中華」をあっためたら「中華」になるのかというと、そういうわけではない。それは「あったかい冷やし中華」である。矛盾しているようだが、矛盾していない。それほどまでに「冷やし中華」は完成されているのだ。
 「冷やし中華」最強。


 じゃあ「動詞+地名」界で最低の言葉は何なのかというと、これはもう決まっている。


「立ち上がれ日本」である。
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by uso8000000 | 2010-11-08 20:02 | その他

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