大人は楽しい

夏の終わりの読書感想文

 今年の夏に読んだ本の中で、おもしろかったもの。


北尾トロ 『怪しいお仕事』 (新潮文庫) ★★★☆☆
 悪徳興信所、ポーカー賭博屋、鍵師、ゴーストライターなど、よくわからん仕事をしている人の話を聞き出したもの。お寺売買のコーディネーターをしている坊主の話が特に生臭くておもしろい。
 この人の文章はところどころわかりづらいところがある。


池上彰 『そうだったのか! アメリカ』 (ホーム社) ★★★☆☆
『そうだったのか!』シリーズ第4弾。アメリカの歴史や政治をわかりやすく解説。
『そうだったのか! 現代史』などのほうが圧倒的におもしろかった。とはいえ、リンカーンが黒人差別主義者だった、アメリカが国と州とがずっと対立している、など意外な情報もたくさん。


俵万智 『愛する源氏物語』 (文春文庫) ★★★☆☆
 源氏物語に登場する和歌の現代語訳。といっても堅苦しい教科書訳ではなく、五七五七七で訳している。さすがは歌人。
 女性から見た、ちょっとうがった解釈がおもしろい。


池谷裕二 『進化しすぎた脳』 (講談社ブルーバックス) ★★★★★
 薬学博士とニューヨークの高校生による、大脳生理学についての対話。
 イルカの脳は人間のよりも大きくてシワも多い、脳が9割なくてもまともな生活を送れる、体が脳を支配する、人間の視神経はデジカメ以下、下等な生物ほど記憶が正確、言語がないと抽象的思考ができない、人類は進化することをやめた……。ため息が出るほど興味深い話が続々。
 アメリカの高校生がしっかりとした発言をすることにも感心した。


西原理恵子 『できるかなクアトロ』 (扶桑社) ★★★★☆
 ルポルタージュ漫画&エトセトラ。瑣末なことをとりあげてギャグにする力は凄い。
 小学生にけんかを売る「人生一年生」は大いに笑った。
 楽屋落ちが多いのが残念。


中崎タツヤ 『じみへん 中濃』 (小学館) ★★★★☆
 相変わらず、感心させられたりくすっと笑わされたり意味がわからなかったりのじみへん。
 じみへんを読むと心が安らぐ。


クリス・マクマナス 『非対称の起源』 (講談社ブルーバックス) ★★★☆☆
 なぜ心臓が左にあるのか、右利きが多いのはなぜか、そしてどうして世界は非対称なのか。発生生物学、化学、文化人類学、歴史、芸術などあらゆる観点から論じた書。
 「左」と「右」は単独では定義不可能という意味論的なくだりはおもしろかった。
 鏡の中のミルクはミルクではないのだそうだ。なぜならある種のたんぱく質は左右を反転させると性質が変わるから。


鴨志田譲&西原理恵子 『アジアパー伝』 (講談社文庫) ★★★☆☆
 文章とカットがまったくあっていないのがおかしい。いつものことだが。
 アル中で死んだ著者だけあって、アルコール臭のぷんぷんする文章だ。カンボジアゲリラ取材の話は魅力的だ。


アンドリュー・パーカー 『眼の誕生 -カンブリア紀大進化の謎を解く-』  (草思社) ★★★☆☆
 カンブリア時代に急激に生物が進化したのは眼が誕生したからだとする説を唱える著者。ではなぜ眼のような高等な器官が誕生したのか。ダーウィンをも悩ませた問題に挑む書。
 第9章でついに地球上に眼が誕生するシーンでは、その場に居合わせたかのような不思議な感動を覚えた。


地下沢中也 『預言者ピッピ ①』 (イースト・プレス) ★★★★★
 未来予知を可能にしたロボットの暴走、それを歓迎する人々。人類の果てしない欲望と行き着く先を描くSF漫画。
 話の作り方が非常に丁寧。『パパと踊ろう』などのギャグ漫画も好きだったが、シリアスなものもいい。
 しかし単行本になるまでに8年もかかったこの漫画、2巻はいつ出るんだ?


立花隆 『人体再生』 (中公文庫) ★★★☆☆
 再生医学の現状(といっても数年前の現状)を伝える対話集。
 臓器移植が数十年後には、誰も使わない野蛮な技術になっているという話には感心した。


小田扉 『団地ともお ⑩』 (小学館) ★★★★☆
 郷愁漂う笑い。
 心地いいテンポと品の良さで、後味もいい。


西原理恵子 『毎日かあさん ④ 出戻り編』 (毎日新聞社) ★★★★★
 過激な子育て漫画。息子のばかっぷりに大笑い。
 しかしこの巻のハイライトは、なんといっても別れた夫・鴨志田譲の末期。病室で最期の言葉を交わすシーンでは、本当に胸が詰まった。


村上春樹 『ねじまき鳥クロニクル (上・中・下)』 (新潮文庫) ★★★☆☆
 ストーリーは意味不明。なのにおもしろいのは、文章それ自体が美しすぎるから。
 春樹の文章は国語の教科書に載せるべきだ。


石原まこちん 『THE 3名様 最後のラストオーダーの章』 (小学館) ★★★☆☆
 最終巻。温度の低さが持ち味のこの漫画には珍しく、ちょっとした盛り上がりがある。ファミレスで3人がぐだぐだしゃべるだけの漫画で、500話近く続けたのはすごい。漫画史に残るいい漫画だった。


山田詠美 『ぼくは勉強ができない』 (新潮文庫) ★★★★★
 すばらしい青春小説。高校生のときに読んでおきたかった。
 主人公の視点や文章のリズムがすっと心に染み込んでくる。


浅野いにお 『おやすみプンプン ①』 (小学館) ★★★☆☆
 漂う空気は好きなんだが、『素晴らしい世界』のような短編のほうが好み。
『虹ヶ原ホログラフ』みたいにならないことを願う。
 他はみんなきちんと描かれているのに主人公だけは謎の動物のキャラ(ただし周囲からは普通の人間に見えている)という表現方法は目新しいけど、だからといってどうってことはない。


西原理恵子 『鳥頭紀行ぜんぶ』 (朝日新聞社) ★★★★★
 一番脂の乗っている時期の作品群。とてつもないパワーに圧倒される。
 楽屋ネタが多いのはいただけないが、鋭く攻撃的なギャグには笑うしかない。嘘ばかり書いたりひどい下ネタを並べたり載せるべき写真をなくしたり、適当具合がまたいい。
 特に「先生がアシスタントしかえしに行ってやるの巻」は最高。


村上龍 『69 -sixty nine-』 (集英社文庫) ★★★★★
 映画も良かったが、小説も素晴らしい。若いエネルギーがほとばしっていて、作者も書いている通り楽しい小説。バカで最高。
 笑えてわくわくしてどきどきする。


『yom yom vol.4』 (新潮社) ★★★☆☆
 新潮社発行の中間小説雑誌。
 だんだん質が落ちてきているような……。角田光代、川上弘美、重松清といった旬の作家をそろえているのだから、もっとおもしろくてもいいのに。




 西原理恵子が多いなあ。
 本を買うのが好きなので、やっぱり読むペースより買うペースのほうが速い。
 溜まる一方。
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by uso8000000 | 2007-10-11 04:50 | 紹介

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